変革は海の向こうから
ここ北海道は明治期に大量に本州から人間が流れ込んだことで大きな変革を迎えた大地です。鉱山は掘られ、道が伸び、林野が田畑になりました。そのせいか、今でも北海道は多様性を尊重する風土があるように感じます。
さて、その北海道に20余年前に移住し、いくつかの職を経験してから独立していらっしゃるのが私が懇意にしていただいている自転車店の店主さんです。前職は北海道のローカルチェーンアウトドアショップで自転車の販売にかかわっており、当時のブログを購読し感銘を受けました。
2000年代初頭から、自転車販売部門に所属していた彼は、折り畳み自転車を使って旅行しよう、カーゴバイクを用いて家族でキャンプ、自転車を生活に取り込むということを積極的に発信していました。
そのブログの中で着になったのは、当時から「小径車は走らない・遅い」という誤解があるということです。これは今でも小径折り畳み自転車に乗る私自身が訊かれることです。
自転車の速度というのはギア比で決まります。車輪の直径が小さいのであればギア比を上げることで直径の大きい自転車と同じ負荷で走ることができるのです。レースにおいても小径車が有利になるケースがあり、現在はロードレースを中心に禁止されていますが、それについてはまた別日に語ります。
なかなかに誤解というのは解けないものです。時代というものは変わりません。
ただ、この国は市民革命の国ではないので無理もないのかもしれないのです。
我が国の近代国家体制への移行は、当時の政権の改革によって成しえませんでした。海外列強が第三世界を分割していく情報を得ていながら、変革は限定的でした。その一方で、変革は一部の急進派によってなされ、市民はそれをなんとなく受け入れてきた歴史があります。
黒船が来て、幕府は倒れました。原爆が落ち、この国は敗北しました。そして両方とも、たくさんの犠牲と痛みを伴いながら国を変化させていきました。きっと今後も同じようになるのではないでしょうか。
現在、いくつかの分野での技術や研究の鈍りがあり、外貨を獲得することが以前に比べて厳しくなり、一方で外国からの観光客によってこの国の経済は何とか回っています。
再び黒船が来ているのです。かつて独特の文化と民族を愛した諸外国の旅人は時代を経て再びこの地を踏んでいます。彼らの存在が、彼らの影響が間違いなく私たちの国を変えていくことでしょう。
その変革の際に、少しでも犠牲を少なく、痛みを少なく、多くの人を善導することを、自転車を通じてできればよいな、というのは生涯の夢です。
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